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宇野千代の人生と文学





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宇野千代の人生と文学

■ 『風の音』

 昭和44年7月、創刊特大号と銘打って文芸総合誌「海」が中央公論社から発刊された。その「創作特集」の筆頭を飾ったのが千代の『風の音』190枚であった。その他の作品は掲載順に井上靖『聖者』、椎名麟三『危険な存在』、石川淳『天馬賦』、平林たい子『鉄の嘆き』、辻邦生『背教者ユリアヌス』、三島由紀夫『癩王のテラス』である。いずれも屈指の作家たちであり、それに伍した千代の文壇での地位が窺える。
 河上徹太郎は初版の「帯」に──宇野千代さんは私と同郷の先輩である。われらの郷里は、およそ無骨な貧乏城下町であるが、かつて宇野さんはそこを舞台に、名作「おはん」といふ世にも優艶な物語を創り上げた。それは二人の愛欲に引きずられる人情噺だったが、今度の「風の音」は、それに劣らぬ艶つぽさと共に、男の執念にやくざめいた影があり、独自のひたむきな欲情が脈打つてゐる。それに書割も方言も、前作より、より岩国的だ。その才筆によりこの無粋な町が忽然と色つぽい地方都市と化したことは、ほとんど一文学的奇跡である──と推薦文を書いた。




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