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宇野千代の人生と文学
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■ 新聞小説『雌雄』
宇野千代にとって『雌雄』は、『足を撫でた女』(大一三「大阪毎日新聞」)、『罌粟はなぜ紅い』(昭4「報知新聞」)に続く三作目の新聞小説である。岩田専太郎の挿絵で昭和10年7月20日から翌11年の3月7日まで、250回にわたって連載された。当時、新聞小説は新聞の売り上げを左右する要素の一つであって、著名な作家の作品が鎬(しのぎ)を削っていたのであった。千代の『雌雄』もそれらに肩を並べたのである。
千代は『雌雄』連載開始直前の昭和10年3月に『色ざんげ』を完結させているのだが、その主人公は湯浅譲二。『雌雄』の主人公も湯浅譲二であるが、『色ざんげ』を焼き直したものではなく、全く新しく生まれ変わらせた千代異色の長編小説である。
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